単純作業のアウトソーシングが盛んになり、経理業務を海外のBPO拠点などに任せている企業は少なくないと思いますし、今後増えていくと考えるのは自然なことです。実際の転職活動を通して、中国やインドに仕訳業務をアウトソースしているという企業も見受けられました。彼は、日本語および英語に精通し、ひたすら仕訳をきり続けます。ここで、不安になる人もいるであろう、経理職というポジションに対する安定性はいかがなものなのでしょうか。
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まずUSCPAを持っているだけでは、会計の概念しか叩き込まれていないので、具体的な仕訳は経験を積みながら覚えていかないといけませんが、仕訳は会計に関する網羅的な知識は必要としないので、遅かれ早かれ誰でも慣れとともにきれるようになります。仕訳をきるだけならUSCPAという資格は必要ありません。仕訳は作業に過ぎず、それゆえアウトソースが可能なのです。では、そうなると経理職というポジションはやはり安泰ではないのでは?答えはYesでもありNoでもあります。
Yesの意味するところは、仕訳をきることしかできない事務処理要員の人々の肩身は今後確かに狭くなっていくでしょう。複雑な処理が多い企業などで、社内に精通した人の判断が必要な特異な例は別とします。
では、Noが意味するところはなんでしょう。必ず単純作業としてアウトソースした成果物というのは、社内のスキルのある社員によって精査が必要となります。正しい仕訳が作成されているか、誤仕訳はないかを一件一件確認しなければいけません。それが会計の数値として反映されますので、大変重要な役割です。ここで役に立ってくるのが網羅的な知識です。仕訳を自分できるよりも、人のきった仕訳を見るほうが何倍もの労力がかかります。また、そこでは仕訳による勘定の動きを見ていくことが必要になるため、会計概念の知識が頼りになります。単純作業をこなすだけではない、ワンランク上のスキルを発揮できるという意味でのUSCPAの付加価値は大いにあります。そこにたどりつければ、基本的には経理職という業種の中で生き残っていくことはかなり容易なことと思います。
ただ、経理というポジションを未経験から目指す場合は、やはり仕訳を覚えるところから仕事を覚えていかないといけないので、エントリーレベルのポジション自体が減る可能性あるということは、これから経理を志す人にとっては年々不利になっていくこともあるかもしれません。