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ストックオプションとRSU

外資系で働くと誰もが一度は耳にする株式報酬ですが、米系の会社では従来主流だったストックオプションからRSUにシフトする傾向があるようです。私の会社でももう7、8年くらいストックオプションの付与はなく、RSUに置き換わっているのはないでしょうか。ざっくり言うと、ストックオプションは、あらかじめ約束した金額で株式を購入し、取得できる権利であるのに対し、RSUは株式をまるっと付与しますよ、と言うもの。まるっともらえる方がお得!と考える方も多いと思いますが、あながちそうとも限りませんし、両者ともよく理解して受け取る必要があります。そうでないと、ある日突然、追徴の連絡来るかもしれません。今日はRSUとストックオプションの受け取る側から見た税務について話します。

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RSUを簡単に説明すると、長期型インセンティブプランで、例えば3年などの期間があらかじめ設定されて、1年経過ごとなど一定の期間が経過すると株がもらえて、1年ごとの付与で3年プランなら3回もらえるというしくみです。会社が特定の従業員に今後のパフォーマンスに期待して付与するものであり、全員がもらえるとも限りません。また、長期に及ぶので、優秀な社員の継続雇用を促す役割も大きく果たしています。RSUに目が眩んで転職を渋る人、外資系には多いんじゃないでしょうか。というのも、私の会社の例でいくと、かなりの金額がRSUで支給されます。私自身、昨年のマンションの購入も、実はRSUがあったからできたと思っています。

 

所得としての観点でお話を進めると、一定の年数が経過し、受け取ったRSUは、自分のものになったタイミングで給与所得として認識することになります。給与計算に含まれる場合はしっかり源泉されますし、確定申告する場合も追加で税金の納付が必要になります。ちょっと痛いのが、株を実際に売ることで得られるキャッシュインがなくても発生する税負担なので、付与されるRSUのボリュームが大きくなればなるほど辛いです。しかも給与所得なので税率が高く、負担も大きい傾向にあります。株を売らないと払えないケースもあると思います。そして実際に売却した場合は、付与された時と売却時の利益をキャピタルゲインとして申告することになります。キャピタルゲインの税率20%です。

 

一方のストックオプションは、約束した金額で株を購入できる権利ですから、権利行使することで初めて株式を取得できることになります。権利行使=購入金額の払込=株式の取得という流れです。このストックオプションに関しては、所得の側面では2つのパターンがあります。税制適格と税制非適格という言葉で表しますが、一定の要件を満たしていると、優遇税制が受けられるというものです。税制適格の場合、行使しても売却するまでは所得が発生しません。そして売却しても、すべてキャピタルゲインとして扱うので、税率20%の税負担となります。RSUの場合は、最大で45%の給与所得税率で計算されるので、倍以上の差が発生することになります。ただ、これが非適格となると注意が必要で、行使のタイミングでまずは市場価格との差額を給与所得として認識し、売却時に行使時との価格上昇分をキャピタルゲインとして申告しなければなりません。こちらもキャッシュインがなくても税負担が起こります。RSUと似た仕組みなので注意が必要です。

 

株式報酬は付与されたまま放置しておくと、あとからとんでもない金額の追徴がくるなど、危険な目に遇うこともしばしあります。税務上の取り扱いをよく理解し、きちんとルールに従って申告・納付を行うことが大切です。というのも、付与する会社側には、税務署への支払調書の提出の義務があり、個人ごとの付与実績をマイナンバー付きで税務署に連絡しています。なので、申告漏れや過少申告がある場合、目をつけられたら簡単に見つけられてしまいます。私もそのような運の悪い人を何にも見てきています。すでに株式報酬を受け取ったことがある人、これから受け取るかもしれない人、受け取ったものをよく確認するようにして適切に扱ってください。